1日だけ、地元に帰ります。
今はそのバスの車内。
少し身体的にはキツイけど、バス移動は結構好きだ。
iPodをシャッフルモードにしながらぼんやりと外を眺めている。
続く高速道路。
僕たちは本当に地面が続いていて、その上で生活しているんだと実感する。
通り過ぎたあの遠い街の灯りに、美しいと心が惹かれるけれど、そこでは僕が知らない沢山の誰かの人生が知らないうちに生まれ、終わっている。
多分その大きな大きな繰り返しの中僕も生まれ、何とかここまで生きてきた。少しだけど、周りの期待とかにも応えてきた。
そんなことを考える。
周りが田舎の景色に変わった。
深夜のバス移動は、この世界のそういうバランスが少し分かる気がする。
何もかも分かろうとしても無駄だということが分かる気がする。
ここまで生きてきたという奇跡が分かる気がする。
この世界の美しさは、儚さと常に表裏一体だと分かる気がする。
そして、なんだろう。
この命は自分のものだけかもしれないし、そうじゃない気がする。
このバスが事故をしたら、
電車のホームで、この左足をもう一歩前へ出したら、
心から愛している何かがこの世から消えてしまったら、
どうなってしまうんだろう。
僕の命は、一体いつ、どこまでいけるんだろうか。
時々この世界に僕は、全くもって必要じゃなく感じる。
そんなことを考えてしまう。
iPodが次の曲に変わる。
良い選曲だ。
The FrayというバンドのHow to save a lifeという曲。
大学生の頃、大好きだった人とよく聴いた。
一緒に和訳とかしたっけ。
あら。こんな、今日まで忘れていたことが蘇ってきた。
音楽は、思い出のタンス的な役割をする。そこには自分しか知らないことが沢山詰まっている。
そうなんだよ、やっぱりここなんだよ。
僕たちの人生が詰まった音楽を残す。本当にそれだけ。
イヤホンの向こう側の君と、少しでも人生を共にできる音楽を残す。
そうだそう誓い合ってから早8年。
何度も立ち止まって、膝から崩れ落ちかけた。
それでも蒔いた種が、少しずつ。
紫陽花のようにさりげなく美しく咲けば良い。僕らしか出せない音がここにあるんだよ。
イヤホンからはhideのHURRY GO ROUNDが流れ、中学高校と一緒にバンドをやった光司と、その約束を思い出す。
少し眠ろう。
Artrandom
各務
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